バカばっか
 
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2005年7月13日を表示

ある夏の日の出来事~出会い~(中編)

女の子は椅子に腰掛けると書類を書き始めた
「で、いくら拾ったの?」
俺は肝心なことを聞き忘れていたのに気づき質問した
「えっと・・・五百円です!」
女の子は左ポケットから少し汚れた五百円玉を机の上に置いた
「・・・・・」
俺は言葉が出なかった
今どき五百円を届けにくる子がいるなんて・・・
「どっ!どこで拾ったの?」
俺は言葉を絞りだした
「自動販売機の前の側溝に落ちてました」
女の子は微笑みながら答えた
「・・・・・」
もう言葉がでなかった

女の子はわざわざ側溝の隙間から手を入れ五百円玉をとったらしい
確かによく見ると制服に泥がついていた
あと擦り傷が何箇所かあった
「怪我してるじゃないか
 ちょっと見せて」
と俺は女の子のほうに近づいていった
「いえ!いいんです!!これは違うんです!」
女の子は少し後ずさりながら言った
「ダメだよ!女の子なんだし傷が残ったら大変でしょ」
俺は少し強引に腕を掴み手当てを始めた
女の子はうつむいたまま手当てが終わるのを待っていた
「終わったよ」
少し罪悪感のある声が出た
「あっありがとうございます!」
チラっと見えた顔がすこし赤くなっていたような気がして
俺も恥ずかしくなってきてしまった
「しょ、書類書き終わったので帰ります!」
と言い残して彼女は帰ってしまった
「・・・・・」
まだ言い残したこともあったので
引きとめようとしたが
もう彼女の姿はどこにもなかった
少し寂しさを感じながらも
まだ俺の心臓は少しドキドキしていた・・・


その後学校の行き帰りで挨拶してくれるようになり
お金を届けてくれた女の子『菊池 美鈴』とは世間話をする仲にまでなった

ある日の夕方彼女は花を買ってきてくれた
「あの、花とかがないから買ってきました
 花瓶もなさそうなので持ってきました!
 飾ってもいいですか?」
彼女は走ってきたのか息も荒く
いっきに話を進めた
「あ、ありがとう」
俺は少しビックリしながら彼女に水を差し出した
すると彼女はペコリとお辞儀をして水を飲み干し
「じゃ、飾りますね!」
といって花瓶をとりだし始めた
「どこで買ってきたの?」
「駅前デパートの前の花屋さんです!」
駅前デパートの前の花屋さん
このあたりでは有名で店員の女性が皆綺麗なのである
だからデパート内の花屋さんには、まったくといっていいほど客が来ない
「あの綺麗な店員さんのいる店か」



「私と違って綺麗な店員さんがいる花屋さんですよ!」
彼女は少しむくれて言った
折角花を買ってきてくれたのに悪いことを言ってしまったか・・・
「いや別にそういう意味ではなくて・・・」
慌てて弁明をする俺
「べ、別にいいんです
 気にしてませんから・・・」
彼女は自分の心情を悟られたと思ったらしく
顔を真っ赤にしてうつむいてしまった
「ここに置いておきます!!」
彼女はそういい残して
また走りさってしまった
・・・・・・

後編につづく



7月13日(水)02:43 | トラックバック(0) | コメント(6) | ある夏の日の出来事 | 管理


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