バカばっか
 
まったり日記@イラストだけでも見てって
 



ある夏の日の出来事
~説明~
自作ショートストーリー

ある夏の日の出来事~出会い~(中編)

女の子は椅子に腰掛けると書類を書き始めた
「で、いくら拾ったの?」
俺は肝心なことを聞き忘れていたのに気づき質問した
「えっと・・・五百円です!」
女の子は左ポケットから少し汚れた五百円玉を机の上に置いた
「・・・・・」
俺は言葉が出なかった
今どき五百円を届けにくる子がいるなんて・・・
「どっ!どこで拾ったの?」
俺は言葉を絞りだした
「自動販売機の前の側溝に落ちてました」
女の子は微笑みながら答えた
「・・・・・」
もう言葉がでなかった

女の子はわざわざ側溝の隙間から手を入れ五百円玉をとったらしい
確かによく見ると制服に泥がついていた
あと擦り傷が何箇所かあった
「怪我してるじゃないか
 ちょっと見せて」
と俺は女の子のほうに近づいていった
「いえ!いいんです!!これは違うんです!」
女の子は少し後ずさりながら言った
「ダメだよ!女の子なんだし傷が残ったら大変でしょ」
俺は少し強引に腕を掴み手当てを始めた
女の子はうつむいたまま手当てが終わるのを待っていた
「終わったよ」
少し罪悪感のある声が出た
「あっありがとうございます!」
チラっと見えた顔がすこし赤くなっていたような気がして
俺も恥ずかしくなってきてしまった
「しょ、書類書き終わったので帰ります!」
と言い残して彼女は帰ってしまった
「・・・・・」
まだ言い残したこともあったので
引きとめようとしたが
もう彼女の姿はどこにもなかった
少し寂しさを感じながらも
まだ俺の心臓は少しドキドキしていた・・・


その後学校の行き帰りで挨拶してくれるようになり
お金を届けてくれた女の子『菊池 美鈴』とは世間話をする仲にまでなった

ある日の夕方彼女は花を買ってきてくれた
「あの、花とかがないから買ってきました
 花瓶もなさそうなので持ってきました!
 飾ってもいいですか?」
彼女は走ってきたのか息も荒く
いっきに話を進めた
「あ、ありがとう」
俺は少しビックリしながら彼女に水を差し出した
すると彼女はペコリとお辞儀をして水を飲み干し
「じゃ、飾りますね!」
といって花瓶をとりだし始めた
「どこで買ってきたの?」
「駅前デパートの前の花屋さんです!」
駅前デパートの前の花屋さん
このあたりでは有名で店員の女性が皆綺麗なのである
だからデパート内の花屋さんには、まったくといっていいほど客が来ない
「あの綺麗な店員さんのいる店か」



「私と違って綺麗な店員さんがいる花屋さんですよ!」
彼女は少しむくれて言った
折角花を買ってきてくれたのに悪いことを言ってしまったか・・・
「いや別にそういう意味ではなくて・・・」
慌てて弁明をする俺
「べ、別にいいんです
 気にしてませんから・・・」
彼女は自分の心情を悟られたと思ったらしく
顔を真っ赤にしてうつむいてしまった
「ここに置いておきます!!」
彼女はそういい残して
また走りさってしまった
・・・・・・

後編につづく



7月13日(水)02:43 | トラックバック(0) | コメント(6) | ある夏の日の出来事 | 管理

ある夏の日の出来事~出会い~(前編)

暑い・・・
七月も始まったばかりだというのに
気温は三十五度をこえている
まぁ毎年こうなのかもしれないが・・・
それにしても暑い
「ねぇクーラーつけてよ!
 まじ暑いんだけど!!」
耳につくうっとうしい声
暑いから余計イラついてくる
「俺はクーラーをできるだけつけない主義なんだよ」
あーもうどうでもよくなってきた・・・

ここは荒井山公園前派出所
あまり人が通るわけでもない所に位置している
通るといったら
公園に来るお爺さんやお婆さん
それと学校に通学する学生たちぐらいか
それもあまり多いわけではない
暇を持て余し退屈しのぎにパトロールしていたら
タバコをふかす女子高生を見つけてしまった
一応補導したが今は後悔しか残っていない
最近の女子高生はみんなこうなのかねぇ
と、年寄りくさいことを言ってみる
こうみえても俺もまだ21歳
高校卒業してやることもなかったので
警察になってみた・・・
「はぁーーー」
椅子にもたれかかり、ため息をつく
「ねぇ暑い!クーラー!!」
さっきから、この女子高生というかギャルは
椅子に足をのせたままクーラーをつけろとせがみ続けている
「だめ」
「うぜー!まじうぜー!!つけろや変態
 さっきからパンツみてただろ!
 金よこせ!!」
今のはムカッときたが
実際そうなので何もいえなかった・・・
俺もこんな不細工のギャルのパンツみてしまうなんて飢えてるのかなぁ

そうこうしている間に学校の先生がやってきた
「またタバコ吸ってたのか!!」
熱血っぽい先生は力いっぱい怒鳴りつけていた
こんな暑いのに熱いひとだ・・・
「・・・・・・」
何も言わないギャル
「すいません
 うちの生徒がご迷惑をおかけして
 あとは私がしっかり言っておきますので」
とぺこりとお辞儀をする熱血先生
「お前も頭をさげんか!」
無理やりギャルの頭をつかみ下げさせる熱血
「あはは
 いいんですよ。こちらもお役に立てたなら幸いです」
ギャルは最後にあっかんベーをして
熱血に怒られながら去っていった

あの制服をみるかぎりでは
有名私立進学校の生徒だが
どこで道を間違ったのやら・・・
「あのーすいませーん」
声がしたので振り返ってみると
さっきのギャルと同じ制服
またか・・・と思いつつよく見てみると
・・・可愛い
ギャルとはうって変わって清純そうな娘だ



「お金落ちてたのですけど
 どうしたらよいのでしょか?」
「え!あ、あーえーっと
 そうだな。じゃあ中で書類書いてもらいたいんだけど
 時間はあるかな?
 届けましたってことを証明する書類だから
 そんなに時間はかからないと思うけど」
この娘にみとれていたので少し焦って
いっきにしゃべってしまった
さっきのギャルが不細工だったせいか?
いやでも普通に可愛い
「わかりました」
少し不思議そうな顔をして返事をする女の子
色々考えていたせいか
それが顔にでていたのだろうか・・・

俺はその女の子を連れて派出所の中にはいったのだった・・・

つづく



7月1日(金)03:17 | トラックバック(1) | コメント(4) | ある夏の日の出来事 | 管理


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